書道日記

【小野雄慈の想い】鈴鹿墨の魅力①

鈴鹿墨の魅力というのは、なんといってもミジミの美しさと色の多彩さ、天然膠(にかわ)のもつ墨色の奥深さ。

そして何より、職人の伊藤亀堂さんの人柄と墨に対するひたむきさに最大の魅力があるんだと私は思う。

今や墨は、書道人口の減少に比例して作業工程の分業、簡素化になっている。
主原料の煤(すす)はブラックカーボン、つなぎの膠(にかわ)は工業用ゼラチンで代用し、工程も分業化されています。

時代の流れを考えれば、致し方ないのかなとも思う中で、伊藤さんは「1200年くらいの歴史があるのにさ、私らが楽して変えたら先人に申し訳ないよ」と、
ゼロから出荷までのすべての工程を、一人で守ってきた方なのです。

今では、息子さんの晴信さんが後を継いで二人で作るようになりましたが、それでもたった二人の職人。

何度かお会いしましたが、とにかく墨に対して、子供みたいにド真っ直ぐな方。
目の前の一人に対して、丁寧に丁寧に墨のことを伝えてくださいます。

言ってみれば、出来上がった墨は結果論。見た目は、機械で作ったのと伊藤さんが作ったので違いはたぶんない。
でも、タカラコソ使うと圧倒的な違いを感じるのです。

書道やアート作品も全く同じだと思う。

手離れがよくて誰がやっても同じ結果になるようなテンプレートが世の中に広がって来たけど、
こんな時代背景だからこそ、真っ直ぐな思いの通ったモノや作品が人の心に響くんだと思う。

伊藤さんの姿を見ているとモノづくりの原点を感じ、いつも背筋がピンと伸びる。

小野雄慈にしか出来ないこと、私にしか書けない線、表現をとことんやろう。

※あ、、、
ちなみにブラックカーボンっていうのは、一言でいうと地球の有害物質みたいです。。(これもSDGsなの??なんでやねん。)

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