書道日記

【小野雄慈の想い】鈴鹿墨の魅力②

「粒子が紙の上でどこまで転がって、どこで定着するか。水と粒子の大きさのバランスで決まる。」

これは墨の話です。
粒子というのは、墨の原料である「煤」のこと。

鈴鹿墨職人の伊藤さんから、数年前に伺ったお話です。

煤の大きさは、ナノメーターという超ミクロの世界。

今や、値段や効率化から科学原料から煤が作られているのに対して鈴鹿墨は、未だ天然の植物系油から丁寧に抽出している。

私はやったことないけど、工程を聞くだけでとても手間のかかる細かい作業。
そのミクロの煤がどれだけ水に乗って和紙の上で広がるのかをひたすら研究し試行錯誤したのが、鈴鹿墨なのです。

その話を聞いて、だからあんなにも美しいニジミが生まれるんだなぁと、鈴鹿墨と伊藤さんの大ファンになってしまいました。

目に見えないところを丁寧にする。心が動くにはやはり理由がありますね。

これは、私達書道家も全く同じで、見えないところにどれだけ想いを乗せられるか。

この部分は、とにかくこだわりたいと、鈴鹿墨をみていつもそう思います。

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